新興宗教総論/淫祠邪教の正体を見抜きましょう 新興宗教総論/淫祠邪教の正体を見抜きましょう

新興宗教総論
淫祠邪教の正体を見抜きましょう


近ごろ世間では、新しく発生した宗教を「新興宗教」とは呼ばなくなっているようです。これは過去に新興宗教が「淫祠(いんし)邪教」「ニセ宗教」「類似宗教」などと呼ばれ、既成宗教と区別され、いかがわしいものとして扱われていた経緯があり、そうした悪いイメージを払拭したいらしいのです。そんなわけで近年では「新宗教」「新・新宗教」などと呼ばれることが多くなっているのです。
しかし当サイト「百禍繚乱」では、これらのものを新興宗教という呼称で統一します。いかがわしい、胡散(うさん)臭い存在であることは昔も今も変わりませんし、「開教から100年以上」などといかに歴史が長くとも、それによって邪法が正法へと変化することは絶対にないからです。


新興宗教の発生形態

通常の既成宗教の場合、まず教え(教典・教義)が先にあって、それを人々への救済理念として形成されました。
しかし新興宗教の場合はある意味この逆で、まずは教祖となる人物が神や仏の啓示を受けたと自称し(いわゆる神懸かり)、その人物をカリスマと崇(あが)めながら何年か経って教義らしきものを作って体系化し、教団組織の体制を整えていくのが一般的です。
ある本によると、今どきの新興宗教は、
・カリスマ的人間を仕立て上げる
・人間心理の弱点を脅(おど)す
・弱者の論理にあくまでも迎合し、なぐさめる
・現世利益をうたう
・超能力現象を見せる(手品でよい)

というような感じで出来上がるそうです。これは実際に、東京都下で勢力を伸ばしている中堅教団の教祖がその本の著者に、教団を開設するに当たっての信条を語った本音です。
新興宗教とは、所詮はこういうものなのです。

現世利益主義と奇跡信仰

世間の人々の新興宗教への入信動機は、今も昔も「貧」「病」「争」だと言われています(また最近ではこれらに加えて「精神世界への幼稚な好奇心」もあるように思います)。貧しい人はお金が欲しい、病気に苦しむ人は治したい、人間関係で悩む人はそれを解決したい……それらが新興宗教にうっかり飛びついてしまう大きな要因です。
既成宗教は、こうした問題を即効的に解決し、人々を満足させるというスタンスではありません。そこに「病気が治る!」だの「金持ちになれる!」だのという宣伝文句を垂れ流す新興宗教が現れて、信者を増やしていくのです。
新興宗教は概して、病気治しを大々的に宣伝して大きくなりました。天理教、金光教、霊友会、生長の家などはその典型であるといえます。何かの新興宗教に入って、教祖の祈祷やヘンテコな修行の結果、たまたま病気が治ったりすると、それに後から尾ひれがいっぱい付いて大変な御利益話になったりします。こうした奇跡信仰的な御利益話こそ新興宗教の教義そのもの、骨格であるともいえます。
また、カリスマ教祖の霊能力やら超能力やらを喧伝して、人々の興味を引こうとする者たちもいます。例えばかのオウム真理教(現アーレフ)の麻原彰晃が水中に何十分も潜っていられたとか、座ったまま何十センチも飛び上がったなどという与太話がこれに該当します。これは先に書いた「超能力現象を見せる(手品でよい)」という、新興宗教の手法です。
まず心構えとして「宗教は神秘的・奇跡的なものだ」などと思わないことが大切です。教祖の霊能力なんて、ほとんどウソ八百か妄想だし、超能力なんて手品を見せれば充分なわけです。もし百歩譲ってそれらの能力が実際のものだったとしても、そんなものは人々の根本的な幸・不幸にはまったく関係のないものですし、信仰の対象として完全に除外すべきです。
実体不明な霊能力だの超能力だの、神秘だの奇跡だの、道理を無視したものは信じてはいけません。物事はすべからく、原因があって結果が生ずるのです。原因もないのに結果だけが生ずる奇跡信仰などは、馬鹿げていると思わなければいけません。
新興宗教に入って、一時的に病気が治ったりすることもあります。これは仏法で言うところの「魔の通力」と呼ばれるものですが、それは最初だけの一時的な小利益(しょうりやく)であり、その後には御利益どころか大きな不幸が待っています。そうなってからでは大変です。

所詮はカネ、金、かね

宗教法人格を取得すると免税特権があります。新興宗教はとても儲かるわけで、多くの新興宗教法人は金儲けシステムとして存在すると言って過言ではありません。布施だけでなく、教団が出版社を持っていて、教祖の著書を信者に売りつけて金儲けしたり、その手法はいろいろで、中には「本を読んだだけで病気が治る」とか馬鹿なことを宣伝しているケースも多くあります。
また合法集金の他に統一協会みたいな霊感商法もありますし、一時期世間を騒がせた法の華三法行の足裏診断で「ガンになるぞ!」等と脅して大金を巻き上げたり高額な品物を買わせたり、悪質な例も数多く存在します。
また「たくさんのお金を出せば、それだけ大きな御利益(ごりやく)がある」とか「あの人は100万円寄付した。あなたも頑張りなさい」などと信者を煽って大金を出させるところもある始末。そんなこんなで大金を貢がされ、そのあげくに普通の社会生活ができなくなってしまうケースも多々あります。
所詮、新興宗教なんて全部そんなもんだと思っていて間違いありません。
何はともあれ「一利のあとに百害あり」。それが新興宗教です。

この章に掲載されている、各宗教に関する文章は、基本的に『諸宗破折ガイド』(宗旨建立七五〇年慶祝記念出版委員会編)を基とし、適宜に要約し、さらに必要に応じて加筆して構成されています。

“正しい宗教と信仰”