【創立】昭和62年7月
【創始者】麻原彰晃(グル・尊師)
【信仰の対象】シヴァ大神
【教典】『マハーヤーナ・スートラ』『原始仏教講義』『ヨーガ経典』
【現団体名】宗教団体Aleph(アレフ)
【派生教団】ひかりの輪
【創立】昭和62年7月
【創始者】麻原彰晃(グル・尊師)
【信仰の対象】シヴァ大神
【教典】『マハーヤーナ・スートラ』『原始仏教講義』『ヨーガ経典』
【現団体名】宗教団体Aleph(アレフ)
【派生教団】ひかりの輪
衆知のごとくオウム真理教は、世界史上にも例のない、サリンという毒ガスを使った「松本サリン事件」「地下鉄サリン事件」という無差別大量殺戮(さつりく)犯罪を起こし、それ以外にも多くの凶悪犯罪を繰り返した、驚くべき反社会的カルト教団です。
本来であれば、これほどの事件を起こし、広く世間に知れ渡った邪宗教ですから、今さらこのようなカルト邪宗教から派生した「アレフ」や「ひかりの輪」といった教団に近寄る人などいないだろうということで、このサイトで取り上げる予定はありませんでした。
しかし1995年の「地下鉄サリン事件」から25年以上が経過し、事件を知らない若い世代の「アレフ」「ひかりの輪」への入信が増加傾向にあり公安が警戒を強めている現状、また「邪宗教の害毒」の一側面が、これほど分かりやすい形で現れた例も珍しいということで、あえてこのサイトで改めて検証することにした次第です。
さらに、アレフは麻原彰晃の「生誕祭」を祝い、肖像を掲げるようになっている他、以前の修行法や教本も復活させるなど原点回帰も鮮明になっており、アレフにせよひかりの輪にせよ、仮に教祖・麻原と危険思想の教義を排除して生まれ変わったなどと言っても、その邪宗教としての本質は同じです。
オウム真理教(現・宗教団体アレフ/Aleph)は、麻原彰晃(あさはら・しょうこう)が、「ヨーガの修法」や「超能力の開発法」の伝受(でんじゅ)を宣伝文句にして信者を集め、創設した教団です。
この教団自体は、教祖をはじめほとんどの幹部が平成6年6月の松本サリン事件、同7年3月の地下鉄サリン事件などの無差別殺戮事件に関わったことが明らかになり、同7年12月、宗教法人の解散を命ぜられました。
その後、同教団の元幹部・上祐史浩が中心となり、「従来の体制を解体し、過去の反省や将来的な理念のもとに、まったく新しい団体に生まれ変わる」として、旧オウム真理教信者に呼びかけて結成したのが「宗教団体アレフ」です。
しかしその後、上祐と古参幹部との間に対立が生じ、上祐はアーレフを脱退し、2007年5月に新団体「ひかりの輪」を設立して代表の座につきました。
上祐脱退後のアレフは、2008年5月20日、教団は名称の「Aleph(アレフ)」への改称、および旧役員に代えて合同会議による教団運営を主要な内容とする新体制発足を発表しました。合同会議は運営委員会が主宰し、その共同幹事である上田竜也と松下孝寿が教団を対外的に代表するとしています。さらに、これまで新代表を名乗ってきた野田成人に対し、教団役員の地位の失効と代表地位の無効を通告しました。
オウム真理教の創始者・麻原彰晃は、本名を松本智津夫(まつもと・ちづお)といい、昭和30年に熊本県に生まれました。
生まれつき左目が見えず、右目も弱視だった智津夫は、鍼灸師(しんきゅうし)の資格を取り、昭和52年に22歳で上京。鍼灸のアルバイトをしながら予備校に通い、東大を経て政治家になることを夢見ていましたが、受験に失敗しました。
昭和53年、智津夫は石井知子と結婚し、千葉県内で鍼灸院と薬局を開設。このころから智津夫は、運命学(気学・四柱推命)を学び、その後は神仙術である仙道に凝(こ)り、また「GLA」の高橋信次の著作なども読みました。
昭和56年、智津夫は健康食品と漢方薬を扱う「BNA薬局」を開業しましたが、翌年にミカンの皮を使ったニセ薬を販売したことで薬事法違反で逮捕され、20万円の罰金刑を受けました。このころ「クンダリニー覚醒」という、ヨーガの独自の修法により神秘の力に接する体験をしたそうです。
この当時、智津夫は桐山靖雄の「阿含宗(別項参照)」に入信しましたが、昭和59年には脱会。同年には、智津夫は「オウム神仙の会」を発足させ、同時に麻原彰晃と名乗って、渋谷でヨーガ教室をはじめました。
昭和60年、麻原は「空中浮遊を行った」などと公言し、また突然「天から降りてきたシヴァ神から、シャンバラ(理想郷)王国を築けと啓示を受けた」などとも言い始めました。
翌昭和61年、麻原は「インド・ヒマラヤ山で修行中、最終解脱者(げだつしゃ)となった」などと宣言し、「世界で一番安全で、世界で一番確実で、宇宙で一番スピーディーな超能力開発法」などというキャッチフレーズで若者を取り込んでいきました。
同年、本部を世田谷に移転した麻原は、それを機に「出家制度」を採用し、弟子たちに厳しい修行を課すようになり、組織自体も従来のサークル的なものから急速に閉鎖的なものに変質していきました。
そして昭和62年、教団の名称を「オウム真理教」と改称し、富士宮市に富士宮総合本部道場を開設しました。
このころから、信者やその家族から「多額の布施を要求された(当時、出家する信者に対しては、全財産の布施を求めていた)」「出家信者となった家族と連絡が取れない」などの声があがり、この教団の反社会性が表面化してきました。
そうした中、平成元年に東京都から宗教法人として認可されましたが、ほどなく週刊誌等で教団への批判記事が連載されるようになり、同年11月には、「オウム真理教被害対策弁護団」の中心者であった坂本堤弁護士一家が、教団幹部によって殺害される事件が起きていたのです。
平成2年には、麻原と幹部25名が衆議院議員選挙に立候補したものの全員落選。これによって社会に恨みを抱いた麻原は、「今の人類はポアするしかない」と、教義として無差別殺人を説き、幹部たちを煽動(せんどう)しました。
平成4年、麻原は各地の国立大学で講演し、「2000年までにハルマゲドン(世界最終戦争)が起こり、大都市では9割の人間が死ぬ。それを生き延びるには、修行によって<超人>になるべきだ」などと述べていました。
平成6年には「松本サリン事件」を起こし、またLSDや覚醒剤を使用したイニシエーション(秘儀伝受)をはじめました。そして平成7年には「公証役場事務長拉致監禁事件」を起こし、さらに「地下鉄サリン事件」という、世界史上初の凶悪テロ事件を引き起こしたのです。これによって、麻原と教団幹部7名が、殺人と殺人未遂の容疑で逮捕されました。
同年10月、東京地裁が宗教法人「オウム真理教」の解散命令を出し、12月に確定。教団は活動休眠宣言を経て、平成12年に教団名を「アレフ(後にアーレフ)」と変更しました。これはオウム元幹部の上祐史浩(じょうゆう・ふみひろ)が中心となって「従来の体制を解体し、過去の反省や将来的な理念の元に、まったく新しい団体に生まれ変わる」という趣旨で、旧オウム真理教信者に呼びかけて結成したものです。
その後、上祐と古参幹部の間に対立が生じ、上祐はアーレフを脱退。2007年に新たに「ひかりの輪」という宗教団体を立ちあげ、現在に至っています。
教団の主宰神は「シヴァ大神」というものです。麻原はこれを「すべての意識の根本」「真理勝者が到達する最終的な段階」などと主張しています。また教典は『原始仏教講義』『ヨーガ経典』を主としています。
ちなみに麻原は、教団の教法や修行について
「原始仏典を土台として、それにチベット仏教を味付けし、そして密教的ヨーガを飾り付けたという、世界でも類を見ない最高の修行体系」
などと自画自賛しています。
オウム真理教の世界観は、下から順に、
(1)現象界・・・(欲六天…地獄・餓鬼・動物・人間・阿修羅界・天界)
(2)アストラル界・・・(色界…微細な物質世界)
(3)コーザル界・・・(無色界…光と想念の世界)
(4)マハーヤーナ・・・(絶対自由・絶対幸福・絶対歓喜の世界)
マハー・ニルヴァーナ・・・(大完全煩悩破壊界)
マハー・ボディ・ニルヴァーナ・・・(大到達真理完全煩悩破壊界)
という階層になっています。
教団によれば、人間本来の自己は「真我(永遠・不滅・歓喜の三属性)」であり、もともとマハーヤーナ(上記の4)に安住していましたが、3グナというものの干渉によって苦界に迷い込んでしまっている…のだそうです。そこでオウムでは「救済」と称し、すべての魂を絶対自由・絶対幸福・絶対歓喜の世界に導くと主張しています。
そのための修行として段階的に、アーサナ(体位法)やブラーナーヤーマ(調気法)による瞑想(めいそう)、マントラ(真言)を唱える、断食、独房修行、イニシエーションなどが設けられています。
特に「イニシエーション」は、麻原が持つという物理的な力・エネルギー・情報を注ぎ込むとかいうもので、修行を飛躍的に進める神秘力があるなどとされていました。ちなみに麻原のイニシエーションには、次のような種類がありました。
(1)血のイニシエーション・・・麻原の血液を飲む(布施100万円以上)
(2)愛のイニシエーション・・・麻原のDNAを使用したもの(布施100万円以上)
(3)シークレット・イニシエーション・・・麻原のリンパ球を使用したもの(布施100万円以上)
(4)パーフェクト・サーベーション・イニシエーション・・・ヘッドギアを使用し、麻原の脳波を信者の頭部に流す(100万円のコースと、1000万円のコースの2種類あり)
平成元年以降、麻原は「ノストラダムスの予言」や「ハルマゲドン(世界最終戦争)説」を繰り返すようになり、タントラヴァジュラヤーナ(金剛乗=最上級の教え)を強調するようになり、それが「ポア」であるとして、教団と対立的な人物や団体に対して危害を加えることを正当化しました。
オウム真理教への解散命令の後に結成された宗教団体アーレフでは、教義書について「オウム真理教の教義のうち、古代ヨーガ・原始仏教・大乗仏教を根本に、危険とされる教義は破棄して、新たに編纂(へんさん)する」などとしていましたが、現・宗教団体Aleph(アレフ)では麻原彰晃の「生誕祭」を祝い、肖像を掲げるようになっている他、以前の修行法や教本も復活させるなど原点回帰も鮮明になっています。
公安調査庁によれば、Alephの最近の勧誘方法は以下のようなものがあります。
1、大学構内の掲示板上にて大学非公認のサークルの案内として掲示し、さらに学生に対して声かけを行う。
2、インターネットのSNSなどを利用し、宗教、ヨーガ等に興味を持つ者と接触を試み、教団名を隠して接近し教団が運営するヨーガ教室に誘い出す。
3、信徒の親族に対し、入会するよう執拗に説得を試みる。
「善悪の判断ができなくなり、自身の不幸すら自覚できない」……これも邪宗教の害毒の一端です。オウム真理教の場合、LSDや覚醒剤まで使っての「洗脳」によってそれを極端な状態にし、数多くの凶悪事件を引き起こしました。
○在家信者・真島照之氏が富士山総本部で修行中に死亡。遺体を総本部で焼却(昭和63年9月)
○上記目撃者の信者・田口修二氏を殺害(平成元年2月)
○坂本堤弁護士一家殺害(平成元年11月)
○信者・落田耕太郎氏をリンチ殺害(平成6年1月)
○滝本太郎弁護士をサリン襲撃(平成6年5月)
○松本サリン事件(平成6年6月)
○信者・富田俊男氏をリンチ殺害(平成6年7月)
○「オウム真理教被害者の会」会長・永岡弘行氏をVXで襲撃(平成7年1月)
○目黒公証役場事務長・仮谷清志氏を拉致監禁、殺害(平成7年2月)
○地下鉄サリン事件。死者11名、重軽傷者約3,700名(平成7年3月)
○教団幹部・村井秀夫刺殺(平成7年4月)
こうして列記してみると、あらためてその「狂気」に驚かされます。
麻原とは、LSDや覚醒剤を使用した修行や独房修行等で信者を洗脳し、彼らに指示してサリンやVXガス、さらに自動小銃や爆薬まで製造させ、ハルマゲドンを自作自演して地下鉄サリン事件という最狂のテロ事件を起こした、忌むべき人物です。
現在、宗教団体アーレフでは、「オウム真理教の教義のうち、古代ヨーガ・原始仏教・大乗仏教を根本に、危険とされる教義は破棄して」などと言っています。
しかし彼らはいまだに麻原を「グル(絶対的指導者)」として信奉しているのであり、教団の看板を掛け替えただけであって、「オウム真理教」としての本質は何も変わっていないと見るべきです。
この教団は「邪宗教の害毒」が、組織体の犯罪として暴発した顕著な事例です。しかしこれは極端ではあるにせよ、自分たちの組織に敵対する勢力に対して、暴力・いやがらせ等の攻撃に出る新興宗教は珍しくありません。
オウム真理教を特殊な事例として片づけるのは間違いです。
教団の主宰神であるシヴァ神について、麻原は「すべての意識の根本」「真理勝者が到達する最終的な段階」などと主張しています。
しかしそのような定義は、仏教にもヒンズー教にも存在しません。ヒンズー教では「破壊の神」であり、仏教では「迷いの境界(きょうがい)を出ることのできない天界の神の一つ」とされています。
要するに、麻原が勝手に祭り上げているだけのもので、何の根拠もない主宰神なのです。
麻原は原始仏教だヨーガだといいながら、ノストラダムスの予言だのハルマゲドンだの、自宗の教義とは何の関係もない外道義を声高に叫び、凶悪犯罪を犯しました。
こうした終末思想を持ち出すのはカルト教団の常でありますが、このようなものを無節操に混ぜて平気な顔をしていること自体、この教祖と教義がまるで一貫性のない、デタラメな存在であることを露呈しています。
もっとも、「原始仏典を土台として、それにチベット仏教を味付けし、そして密教的ヨーガを飾り付けた」という教義体系なわけですから、それ以外に何が混入しても不思議ではありませんが、デタラメもたいがいにすべきでしょう。
教団で教える階層的世界観の中で、最高位にあるのが「マハー・ボディ・ニルヴァーナ(大到達真理完全煩悩破壊界)」というものだそうです。
そういえば以前、上祐史浩がテレビのインタビューに答えて、「大乗教は、現代の人間には高尚で困難だから、オウムでは信者に対して、小乗教の修行から教える」というような趣旨の発言をしていました。
これはとんでもない誤りです。
小乗教というのは「小さな乗り物」「小船」ということで、自分のみの救済を求める者に対して、方便(ほうべん)として説かれた経であり、「すべての人々を成仏に導く」という、仏教本来の目的とはかけ離れた低級な教えです。
対して大乗教というのは「大船」であり、自分とともに多くの人々の救済を願う菩薩(ぼさつ)のために説かれた教えであり、小乗教には説かれない深遠(じんのん)な法理が明かされています。したがって、小乗教と大乗教を相対した場合には、より優れた教えである大乗教を選択するのが正しいのであり、小乗門から入るというのは何の意味もないことです。実際、古代インドにおいて、すでに小乗教は大乗教に打ち破られて決着しているのです。
さて上記に「完全煩悩破壊」なる表現がありますが、これは「煩悩を断じ尽(つ)くして空(くう)に入ったところが悟りの境地」と教える、小乗教からの発想です。
しかし「煩悩を破壊」だの「煩悩を断尽(だんじん)」だのは、人間には絶対に不可能なことです。これはあくまでも仏教初門の方便であって、真実の教えではありません。どんなに頑張って煩悩を無くそうとしても、それは誰にもできないのです(もちろん、麻原も上祐もです)。
仏法の真実たる『法華経』においては、「煩悩を即(すなわ)ち菩提(ぼだい=悟り)と開く」のであり、煩悩を無くそうなどというものではありません。麻原も、弟子の上祐も、単なる習い損(そこ)ないの似非(えせ)宗教家であり、このような者たちに付き従っても得るものは何もないのです。
以上、ごく簡単ではありますが、オウム真理教、ならびにアレフ、ひかりの輪の教義についてその邪宗教である理由を述べました。皆さま方におかれましては、このような邪法邪師の邪義に惑わされることがありませんよう、くれぐれもご注意願いたいと思います。
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